日本政府は2026年6月19日の閣議で、外国人向けの査証(ビザ)手数料を定める政令を改正し、2026年7月1日以降に在外公館で受理された申請から手数料を約5倍に引き上げることを決定しました。1978年以来、実に48年ぶりの手数料改定となります。

改定の概要 ─ 一次は1.5万円、数次は3万円に

改定後の手数料は以下のとおりです。

査証の種類 改定前 改定後(2026年7月1日〜)
一次入国査証(シングルエントリービザ) 3,000円 15,000円(5倍)
数次入国査証(マルチプルエントリービザ) 6,000円 30,000円(5倍)

外務省によれば、今回の改定は物価上昇や訪日外国人の急増による行政コストの増加に対応したものであり、米国・欧州の主要国と同水準の手数料に揃えることを目的としています。

対象国・発給状況

査証の発給を受けているのは、日本と査証免除協定を締結していない国・地域の国民です。2024年度の発給件数の内訳では中国人向けが約73%を占め、フィリピン・ベトナムが続きます。査証が必要な主な国籍の例としては中国・インド・インドネシア・フィリピン・ベトナム・タイ・バングラデシュ・パキスタン・スリランカなどが挙げられます。

「査証免除国」は対象外

米国・英国・カナダ・フランス・ドイツ・オーストラリアなど査証免除協定締結国の国民が短期滞在(90日以内)で来日する場合、今回の改定は関係ありません。長期滞在(就労・留学・家族滞在等)の場合は査証が必要となります。

「査証(ビザ)」と「在留資格」の違い

今回の改定を正確に理解するうえで、「査証」と「在留資格」の違いを押さえておくことが重要です。

  • 査証(ビザ):外国人が日本に入国することへの推薦状(在外公館が発行)。日本到着後は効力を失う。
  • 在留資格:日本国内で活動する権限(入国管理庁が許可)。就労・留学・家族滞在など目的に応じて種別がある。

今回の手数料改定は「査証」の取得費用であり、日本国内での在留資格の更新・変更手数料は別途2026年10月に改定予定です(政令案がパブコメ中)。

外国人採用実務への影響

すでに日本に在留している外国人(在留カード保有者)については、今回の査証手数料改定は通常は影響しません。ただし、以下のケースでは費用負担が増加する可能性があります。

  • 海外在住の外国人を新規採用する場合:在留資格認定証明書(COE)を取得した後、本人が母国の在外日本公館で査証を取得する必要があります。1人あたりの査証取得費用が3,000円→15,000円(一次の場合)に増加します。
  • 長期一時帰国後の再入国:再入国許可を取得せずに180日超出国した場合、再入国時に査証が必要になることがあります。
実務ポイント:採用候補者への案内が必要

海外からの採用では、査証取得は本人が行う手続ですが、費用負担の取り決めを事前に明確にしておくことをお勧めします。特に発展途上国の候補者にとって15,000円の費用は負担となる場合があります。また、申請から取得まで数日〜数週間かかるため、入社スケジュールの調整にも注意が必要です。

まとめ

  • 2026年7月1日以降の在外公館への申請から査証手数料が5倍(一次1.5万円・数次3万円)
  • 48年ぶりの改定、物価上昇と行政コスト増加が背景
  • 対象は査証が必要な国籍(中国・フィリピン・ベトナム等)
  • 査証免除国の短期滞在には影響なし
  • 在留資格の更新・変更手数料の改定は別途(2026年10月予定)
  • 新規採用時のCOE発行後の査証取得コストが増加するため、採用計画に注意

査証の取得手続き・在留資格申請についてご不明な点がありましたら、さくら中央法務事務所(法務省認定申請取次行政書士)にお気軽にご相談ください。