遺言書には「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。中でも自筆証書遺言は、費用をかけず自分で作成できる手軽さから多く利用されていますが、書き方のルールを守らないと無効になってしまいます。また、2020年に施行された「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(遺言書保管法)により、法務局に自筆証書遺言を保管する制度が始まりました。本記事では、自筆証書遺言の書き方・法務局保管制度・注意点を行政書士が解説します。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言の特徴
・ 全文・日付・氏名を自筆(手書き)で記載し、押印すること(民法第968条)
・ 費用不要・証人不要・いつでも撤回・変更可能
・ ただし、書き方の要件を一つでも満たさないと無効になる
・ 財産目録のみパソコン作成・通帳コピー添付が認められる(各ページへの署名押印が必要)
自筆証書遺言の書き方(必須要件)
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全文を自筆(手書き)で書く
遺言書の本文は必ず自筆で記載します。パソコン・ワープロで打ち出したものは無効です(財産目録を除く)。 -
作成日付を明記する
「令和○年○月○日」と正確に記載します。「○月吉日」など曖昧な表現は無効です。 -
氏名を自署する
戸籍上の氏名を自筆で記載します。ペンネーム・ニックネームは原則として使えません。 -
押印する
実印が望ましいですが、認印・拇印でも有効です。ただし押印は必須です。 -
加除訂正の方法
訂正は所定の方式(訂正箇所を2本線で抹消し、その旨を付記して署名、訂正印を押す)で行わなければなりません。修正液・修正テープは使用不可です。
法務局の遺言書保管制度(遺言書保管法)
2020年7月10日から始まった法務局の遺言書保管制度を活用すると、次のようなメリットがあります。
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遺言書の紛失・隠匿・偽造のリスクを防止
自宅保管では、発見されない・隠される・偽造されるリスクがありますが、法務局が保管することでこれらのリスクが解消されます。 -
家庭裁判所の検認手続きが不要
自筆証書遺言は通常、家庭裁判所での「検認」手続き(遺言書の存在を相続人に知らせ内容を確認する手続き)が必要ですが、法務局保管の場合はこの手続きが不要になります。 -
基本的な様式確認
法務局への申請時に、遺言書の基本的な様式(自筆・日付・氏名・押印等)が確認されます(ただし内容の有効性は確認されません)。
法務局保管の申請手続き
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申請先
遺言者の住所地・本籍地・所有不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局(遺言書保管所) -
申請方法
遺言者本人が必ず窓口へ出頭(代理申請は不可)。事前に予約が必要です。 -
必要な書類・費用
保管申請書・遺言書(法務省所定の様式に合わせた用紙に記載)・本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)。手数料:1件あたり3,900円(収入印紙)。 -
遺言書の様式上の注意
法務局保管用の遺言書は、定められたサイズ・余白の用紙に記載する必要があります(A4サイズ・上余白5mm以上・左右各10mm以上・下5mm以上等)。
自筆証書遺言と公正証書遺言の比較
- 費用:自筆証書遺言は法務局保管費用のみ(3,900円)。公正証書遺言は遺産総額に応じて数万円〜十数万円の公証費用がかかります。
- 証人:自筆証書遺言は不要。公正証書遺言は証人2名が必要。
- 確実性:公正証書遺言は公証人が作成するため無効になるリスクが低い。自筆証書遺言は書き方が不正確だと無効になることがある。
- 検認:自筆証書遺言(法務局保管なし)は家庭裁判所の検認が必要。法務局保管の場合・公正証書遺言の場合は不要。
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