政府は2026年1月23日の閣議において、特定技能・育成就労の分野別運用方針を決定し、2024年度から2028年度までの5年間の受け入れ上限を合計123万1,900人とすることを正式に確定しました。同時に、リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野が新たに追加され、対象分野は17分野となりました。
また、育成就労制度の施行日が2027年4月1日に正式決定したことも本閣議決定で明らかになりました。技能実習制度はこの日をもって廃止となります。
5年間の受け入れ上限 ─ 分野別の内訳
123万1,900人という上限数は、特定技能1号・2号と育成就労を合算したものです。分野ごとに上限数が設定されており、代表的な分野の受け入れ上限数は以下のとおりです。
| 分野 | 5年間の受け入れ上限数 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 介護 | 13万5,000人 | 特定技能1号・2号・育成就労対象 |
| 建設 | 8万人 | 特定技能1号・2号・育成就労対象 |
| 製造業(素形材・産機・電機電子等) | 合計22万5,000人 | 複数分野の合算 |
| 農業 | 7万3,000人 | 特定技能1号・2号・育成就労対象 |
| 飲食料品製造業 | 13万人 | 特定技能1号・育成就労対象 |
| 物流倉庫(新設) | 5万人 | 新規追加分野 |
| リネンサプライ(新設) | 1万人 | 新規追加分野 |
| 資源循環(新設) | 2万人 | 新規追加分野 |
新設3分野の詳細
① 物流倉庫(5万人)
倉庫内でのピッキング・入出荷・在庫管理・フォークリフト操作等の業務が対象です。EC物流の急拡大と深刻な人手不足を背景に追加されました。倉庫業・物流業を営む企業にとって特定技能・育成就労活用のチャンスが大きく広がります。
② リネンサプライ(1万人)
ホテル・病院・介護施設向けにリネン類(シーツ・タオル・白衣等)の洗濯・乾燥・仕上げ・配達等を行うリネンサプライ業が対象です。人手不足が深刻なサービス業の一分野として追加されました。
③ 資源循環(2万人)
廃棄物の収集・運搬・選別・リサイクル処理等の業務が対象です。2050年カーボンニュートラル目標に向けた循環型社会の推進を担う分野として政策的に重視されています。
育成就労制度 ─ 2027年4月1日施行確定
育成就労は2024年6月21日に育成就労法が成立し、施行日が今回の閣議決定で2027年4月1日に正式決定しました。技能実習との主な違いは以下のとおりです。
| 比較項目 | 技能実習(現行) | 育成就労(2027年〜) |
|---|---|---|
| 制度目的 | 技術移転・国際貢献 | 人材育成・特定技能への移行 |
| 在留期間 | 最大5年(1号〜3号) | 3年(特定技能1号移行前提) |
| 転籍 | 原則禁止 | 同一分野内で一定条件下に認可 |
| 監理団体 | 組合形式の監理団体 | 監理支援機関(要件強化・許可制) |
| 日本語要件 | 入国後講習(基礎) | 入国後にA1レベル到達必須、修了時A2 |
育成就労での転籍は「同一分野内」「1年以上の在籍」「転籍先が同等以上の待遇を確保」「支援機関の関与」などの条件が付されます。技能実習より柔軟になりますが、無制限に転職できるわけではありません。受入れ企業は人材定着策の見直しが必要です。
企業の採用戦略 ─ 今すぐすべきこと
技能実習生の育成就労への移行準備
現在技能実習生を受け入れている企業は、2027年4月1日以降に在籍する実習生が「育成就労」に移行することになります。移行に際して、監理支援機関との契約見直し・転籍規制の社内規定整備・日本語教育体制の構築などが必要となります。今から準備を始めることが重要です。
新分野でのチャンス活用
物流倉庫・リネンサプライ・資源循環の3新分野は、2026年以降に特定技能・育成就労での受入れが可能になります。対象業種の企業は早期に認定申請・監理支援機関の選定を進めることで、他社に先んじた人材確保が可能です。
まとめ
- 2026年1月23日閣議決定で特定技能・育成就労の5年間受け入れ上限が123万1,900人に確定
- リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野が新たに追加(計17分野)
- 育成就労は2027年4月1日施行、技能実習は同日廃止
- 育成就労では同一分野内転籍が条件付きで認められる(技能実習より柔軟)
- 現在の技能実習生は2027年4月以降、育成就労に移行(手続き準備が必要)
- 新3分野の企業は今から認定申請・監理支援機関の選定を開始すること
育成就労・特定技能の受入れ支援・監理支援機関としての手続き、認定申請については公益社団法人さくら研修機構またはさくら中央法務事務所にご相談ください。
⚖️ 行政書士からの専門家コメント
📋 実務上の影響
123万人という受け入れ上限は、現在の特定技能在留外国人数(約60万人、2025年末時点)の約2倍に相当します。人手不足が続く製造業・介護・農業・建設に加え、新設3分野でも大きな採用余地が生まれます。監理支援機関(旧監理団体)の役割はより重くなるため、信頼できる機関との早期連携が不可欠です。
⚠️ 注意すべき落とし穴
技能実習と育成就労の切り替えは「自動移行」ではありません。現在の技能実習計画・監理団体との契約は育成就労制度下では無効となるものもあり、新たな監理支援機関との契約・育成就労計画の認定申請が必要になります。2027年4月まで残り約1年半、早急に準備を開始することをお勧めします。
✅ 今すべきアクション
①現在の技能実習生の状況を整理し、2027年4月時点での在籍予定を把握する。②監理支援機関(弊機構さくら研修機構など)と移行準備について早期に協議する。③新3分野(物流倉庫・リネン・資源循環)への参入を検討している場合は、認定申請の準備を今から始める。さくら研修機構では育成就労・特定技能の監理支援・認定申請サポートを承っています。