法務省・厚生労働省は2026年7月28日付で、技能実習法に基づき監理団体2団体に改善命令を発出した。改善命令を受けたのは、外国の送出機関との間で技能実習に係る契約不履行について違約金等を定める協定書・覚書を締結していた医療介護ネットワーク協同組合(東京都港区西新橋3丁目4番1号、代表理事・増村章仁)と、外国人技能実習機構への監査報告書に虚偽の記載をして提出していた岡山県輸出縫製品工業協同組合(岡山県倉敷市児島下の町9丁目3番31号、代表理事・山﨑嘉之)の2団体である。同日、広島県福山市の実習実施者有限会社アサヒテクノス(代表取締役・伊藤貴史)についても、外国人技能実習機構の職員に虚偽の帳簿書類を提示していたことを理由に、令和元年7月から令和3年3月にかけて認定を受けていた計12件の技能実習計画の認定が取り消された。

事例1:医療介護ネットワーク協同組合 ─ 送出機関との違約金条項

技能実習法は、監理団体や実習実施者が技能実習生本人や外国の送出機関との間で、契約不履行について違約金を定める契約を締結することを禁止している。実習を途中でやめた場合に違約金を課す取り決めは、技能実習生の失踪防止の名目で人身の自由を不当に拘束する手段になり得るためである。医療介護ネットワーク協同組合は、外国の送出機関との間で、技能実習に係る契約の不履行について違約金等を定める内容の協定書及び覚書を締結していたことが確認された。法務省・厚生労働省は、監理事業の適正な運営を確保する必要があると認め、技能実習法36条1項に基づき令和8年7月28日をもって改善命令を発出した。

事例2:岡山県輸出縫製品工業協同組合 ─ 虚偽の監査報告書

監理団体には、傘下の実習実施者に対する定期監査を実施し、その結果を外国人技能実習機構に報告する義務がある。岡山県輸出縫製品工業協同組合は、この監査を十分な確認を経ずに行い、実態と異なる内容を記載した虚偽の監査報告書を機構に提出していたことが判明した。これにより本来機能すべき監理体制が形骸化していたことになる。法務省・厚生労働省は同法36条1項に基づき、同日付で改善命令を発出した。

有限会社アサヒテクノスの認定取消(12件)

広島県福山市大門町の実習実施者、有限会社アサヒテクノス(代表取締役・伊藤貴史)は、外国人技能実習機構の職員に対し虚偽の帳簿書類を提示していたことが確認された。技能実習法16条1項5号に規定する認定の取消事由に該当するとして、令和元年7月24日認定分(認定番号「認1909004991」等3件)、令和2年3月2日認定分(同6件)、令和2年12月3日認定分(同2件)、令和3年3月3日認定分(同1件)の計12件の技能実習計画の認定が、令和8年7月28日をもって取り消された。

📌 処分の内容(2026年7月28日付)
  • 改善命令:医療介護ネットワーク協同組合(東京都港区)─ 送出機関との違約金条項締結(技能実習法36条1項)
  • 改善命令:岡山県輸出縫製品工業協同組合(岡山県倉敷市)─ 虚偽の監査報告書提出(同条項)
  • 認定取消:有限会社アサヒテクノス(広島県福山市)─ 虚偽の帳簿書類提示、12件の計画認定取消(技能実習法16条1項5号)
  • 認定取消を受けた実習実施者は、取消の日から5年間、新たな技能実習計画の認定を受けられない

まとめ

  • 2026年7月28日、監理団体2団体(医療介護ネットワーク協同組合、岡山県輸出縫製品工業協同組合)に改善命令
  • 改善命令の理由は、送出機関との違約金条項締結(技能実習生の保護規定違反)と、虚偽の監査報告書提出の2種類
  • 実習実施者・有限会社アサヒテクノスは虚偽の帳簿書類提示により、計12件の技能実習計画認定を取消(5年間再認定不可)

実務上のポイント:監理団体は、外国の送出機関との協定書・覚書に違約金・損害賠償条項が含まれていないか改めて点検すべきである。定期監査は書面上の形式確認にとどめず、実地での実態確認を伴うものとし、外国人技能実習機構への報告内容が事実と相違しないよう管理する必要がある。実習実施者側も、機構へ提出する賃金台帳等の帳簿書類が実態と一致しているかを日頃から確認しておくことが、認定取消という重い処分を避ける上で重要である。監理団体運営・技能実習計画についてご不明な点があれば、さくら中央法務事務所(法務省認定申請取次行政書士)にご相談ください。