改正入管法(出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律)が2026年5月29日に参議院で可決・成立し、同年6月5日に公布されました。在留資格の更新・変更・永住許可申請に係る手数料の法定上限が大幅に引き上げられ、2026年10月1日を目途に新手数料が適用開始となる見込みです。

現在の手数料は変更・更新が一律4,000円、永住許可が8,000円ですが、新制度では在留期間の長さに応じた段階制となり最大手数料は大幅上昇します。外国人を雇用する企業・事業主にとって無視できない変更です。

改正のポイント ─ 法定上限が最大30倍に

改正法では、政令(施行令)で定める個別の手数料額の法定上限を以下のとおり変更しました。

申請の種類 現行の法定上限 改正後の法定上限
在留資格の変更許可 1万円 10万円(10倍)
在留期間の更新許可 1万円 10万円(10倍)
永住許可 1万円 30万円(30倍)

実際に徴収される手数料は政令(施行令)で個別に定められます。報道(日本経済新聞等)による政府検討中の予定額は以下のとおりです。

新手数料の予定額(報道ベース)

申請の種類 / 在留期間 現行手数料 新手数料(予定) 倍率
在留資格の変更 4,000円 約3万円 約7.5倍
在留期間の更新(3か月) 4,000円 約1万円 約2.5倍
在留期間の更新(1年) 4,000円 約3万円 約7.5倍
在留期間の更新(3年) 4,000円 約5万円 約12.5倍
在留期間の更新(5年) 4,000円 約7万円 約17.5倍
永住許可 8,000円 約20万円 約25倍
⚠️ 注意:具体的な手数料額は政令で確定

上記の予定額は報道ベースの情報です。実際の手数料額は政令(出入国管理及び難民認定法施行令の改正)で正式に定められます。施行前に出入国在留管理庁の公式サイトで最新情報を必ずご確認ください。

施行スケジュール ─ 2026年10月1日が目途

改正法は2026年5月29日成立・6月5日公布、施行日は「公布の日から起算して3か月を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。したがって最遅でも2026年9月5日までには施行され、政府は2026年10月1日施行を想定していると報道されています。施行後は申請日(受理日)を基準に適用手数料が決まり、施行前に受理された申請には現行手数料が適用されます。

外国人雇用企業への影響と対応

在留資格の申請手数料は、外国人本人が納付するか雇用主が立て替えるかを当事者間で決めることができます。今後の値上がりを踏まえ、以下の点を社内で検討・整理することをお勧めします。

① 費用負担方針の明確化

「4,000円程度だから会社が立て替える」という運用をしている企業も多いですが、5年更新が約7万円になると費用負担の取り扱いが大きな問題となります。就業規則・雇用契約書への規定盛り込みをお勧めします。

② 更新申請タイミングの検討

在留期間更新許可申請は在留期限の3か月前から受け付けています。施行(10月1日予定)前の受理を狙い2026年7月〜9月中に申請すれば現行手数料(4,000円)が適用されます。ただし3か月前以降でないと申請できない点に注意が必要です。

③ 永住許可申請の前倒し検討

永住許可の手数料値上げは特に大きく(8,000円→約20万円)、申請要件(通算在留年数等)を満たしている外国人がいる場合は施行前の申請を真剣に検討する価値があります。

実務ポイント:「技術・人文知識・国際業務」5年更新の場合

2026年10月以降に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(5年)の更新申請が必要になる外国人社員がいる場合、会社または本人が約7万円(現行の約17.5倍)の手数料を準備する必要があります。採用コストとして事前に予算に組み込むことが重要です。

改正の背景 ─ 行政コストの増加と他国水準への均衡化

政府は値上げの理由として、①在留外国人数増加に伴う審査件数増加と行政コスト上昇、②主要先進国の手数料水準との均衡化を挙げています。米国の永住権(グリーンカード)申請費用は約11万円(2025年時点)と日本の現行8,000円に比べ格段に高く、今回の改定でも各国比較ではまだ低い水準です。

また、査証(ビザ)手数料の値上げ(2026年7月1日施行済み、一次査証3,000円→15,000円)に続く動きであり、在留資格に関わるコスト全体が大幅に引き上げられる局面にあります。

まとめ

  • 改正入管法が2026年5月29日成立・6月5日公布、10月1日施行予定
  • 在留資格更新・変更の手数料上限が1万円→10万円、永住許可が1万円→30万円
  • 実際の予定額:5年更新 約7万円(現行4,000円)、永住 約20万円(現行8,000円)
  • 施行前(10月1日前)受理の申請には現行手数料が適用される
  • 企業は費用負担方針の見直し・更新タイミングの検討・永住申請の前倒しを検討すること
  • 具体的な手数料額は政令(施行令改正)で正式に確定する予定

在留資格の更新・変更申請、永住許可申請の手続きについて不明な点は、さくら中央法務事務所(法務省認定申請取次行政書士)にお気軽にご相談ください。

⚖️ 行政書士からの専門家コメント

📋 実務上の影響

今回の手数料改定は、日本全国に約350万人いる就労系在留外国人のほぼ全員に直撃します。特に「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能実習(育成就労)」で働く外国人を多数雇用している企業では、年間の採用・在留管理コストが大幅に増加します。複数の外国人を雇用している場合は、来年の予算に影響コストを今から組み込んでおく必要があります。

⚠️ 注意すべき落とし穴

「施行前に急ごう」という判断は在留期限まで十分余裕がある場合に有効ですが、申請が早すぎると許可後の在留期間が短縮されるリスクがあります(3か月前以降の申請が標準)。永住許可の申請要件(通算在留年数・素行善良・生計安定等)の確認なしに急いで申請すると、審査長期化・不許可になるケースもあります。焦らず専門家に相談することをお勧めします。

✅ 今すべきアクション

①在籍する外国人社員の在留期限を一覧化し2026年7〜9月に更新時期を迎える方を特定する。②永住申請の要件を満たす社員がいれば施行前申請の検討を急ぐ。③就業規則・採用コスト計画に今回の値上げを反映させる。不明な点はさくら中央法務事務所への無料相談をご活用ください。特定技能・育成就労の監理団体支援はさくら研修機構もご参照ください。