本記事に掲載する改定内容は、2026年7月24〜25日に朝日新聞・読売新聞・日本経済新聞・共同通信等が報じた情報(関係者への取材ベース)に基づいています。出入国在留管理庁による正式な公表・告示はまだ行われていません。改定内容の詳細はパブリックコメントや正式告示等で確定しますので、公式情報を必ずご確認ください。
2026年7月下旬、複数の大手メディアが、出入国在留管理庁が外国人の永住許可に関するガイドラインを大幅に改定する方針を固めたと報じました。改定は2026年10月1日付を予定しており、「年収が日本人世帯の平均を上回ること」「厚生年金30年加入相当の受給見込み額」「日本語能力の評価」など、これまでより明確かつ高い基準が盛り込まれる見通しです。
現在、日本に永住している外国人は約90万人(2025年末時点)。就労系在留資格から永住へのステップアップを考える多くの外国人と、その雇用企業にとって重大な変化です。本記事では報道内容を整理し、実務上の対応策を解説します。
改定の背景 ─ 永住許可要件の「形骸化」への対応
入管法第22条は永住許可の要件として①素行善良、②独立生計、③国益適合の3つを定めています。現行ガイドラインでは「独立生計」の目安として年収300万円程度が実務上の参考基準とされてきましたが、明確な数値基準が乏しく、審査担当官によって判断にばらつきが生じやすい状況でした。
また、日本では近年、租税・社会保険料の滞納や法令違反を抱えたまま永住許可を取得・維持するケースが問題視されており、政府は2024年の入管法改正で「在留カード返納義務の明確化」なども強化済みです。今回のガイドライン改定は、これらの対応を一歩進め、自立性・将来的な安定性をより厳密に審査する方向への転換と言えます。
改定案の主な内容
① 年収要件の明確化(日本人世帯の平均を上回ること)
現行ガイドラインでは年収300万円程度が目安とされてきましたが、改定案では「年収が日本人世帯の平均を上回る水準に継続して達していること」が明記される見通しです。
| 項目 | 現行の目安 | 改定案(報道ベース) |
|---|---|---|
| 年収水準 | 約300万円以上(実務上の目安) | 日本人世帯の平均を上回ること(具体的金額は未確定) |
| 適用時期 | ─ | 2026年4月以降の申請に適用(遡及的) |
厚生労働省「国民生活基礎調査(2023年)」によると、全世帯の平均所得は約547万円、中央値は約440万円です。「平均」「中央値」「勤労者世帯平均」のいずれが基準となるかは正式公表待ちですが、現行の「約300万円」よりも水準が上がる方向であることは確かです。
② 年金要件の新設(厚生年金30年相当の受給見込み額)
今回の改定案の中で最も注目を集めているのが、年金に関する要件の新設です。報道によると、将来受給できる年金の見込み額が「厚生年金に30年加入した場合の受給額に相当する水準」に達していることを原則として求める方針です。
「厚生年金30年加入水準」は比較のモノサシ(受給見込み額の基準)であり、実際に30年以上厚生年金に加入していることを要求するものではありません。例えば在留年数が10年の外国人であっても、その間の標準報酬月額が高く、将来の受給見込み額が基準に達していれば要件を満たし得ると考えられます。また、不足する場合も預貯金等の金融資産で補充できれば要件を満たし得ると報道されています。
| 項目 | 内容(報道ベース) |
|---|---|
| 基準 | 将来の年金受給見込み額が厚生年金30年加入相当の受給額に達すること |
| 補充 | 見込み額が不足する場合、預貯金等の金融資産で補充可能 |
| 適用時期 | 2027年4月申請分から(年収要件より後ろ倒し) |
③ 日本語能力の評価
改定案では、「自立した言語使用者」水準の日本語能力(JLPT N2相当・CEFR B1相当)の評価が新たに加わる見通しです。日本語能力が低い場合でも即座に不許可となるかは明らかでなく、日本の制度・ルールに対する理解度と合わせて総合的に評価されると報道されています。
④ 配偶者特例の引上げ(日本人・永住者の配偶者)
現行では日本人や永住者の配偶者は「婚姻3年かつ在留1年以上」で永住許可申請が可能ですが、改定案では「婚姻5年かつ在留3年以上」に引き上げられる見通しです。
| 特例区分 | 現行 | 改定案(報道ベース) |
|---|---|---|
| 日本人・永住者の配偶者 | 婚姻3年かつ在留1年以上 | 婚姻5年かつ在留3年以上 |
| 通常の就労系在留資格 | 原則10年(就労5年以上) | 変更なしの見込み |
適用スケジュール ─ 年収と年金で時期が異なる
| 新要件 | 適用開始(報道ベース) |
|---|---|
| 年収(日本人世帯平均以上) | 2026年4月以降の申請(遡及的適用) |
| 年金受給見込み額(30年相当) | 2027年4月申請分から |
| 日本語能力・制度理解度 | 2027年4月申請分から(見通し) |
| 配偶者特例の引上げ | 2027年4月申請分から(見通し) |
| ガイドライン改定日 | 2026年10月1日付 |
報道によれば、年収要件については2026年4月以降に申請した案件から新基準が適用される方針とのことです。既に申請済みの案件や2026年4月以前の申請は従来基準で審査される見通しですが、現在申請中・申請予定の方は早急に専門家に確認することをお勧めします。
実務への影響 ─ 誰が影響を受けるか
① 年収が日本人世帯平均に満たない在留外国人
現在年収が400〜500万円台を下回る方は、新基準の下では年収要件が充足できない可能性があります。特に中小企業に勤務する外国人や、育児・病気療養等で一時的に収入が減少した方は早期に専門家への相談をお勧めします。
② 厚生年金未加入・国民年金のみの加入者
個人事業主・フリーランス・一部の非正規就労者など、国民年金のみ加入の方は、厚生年金の受給見込み額がゼロのため、金融資産での補充対応が焦点となります。また過去に未納期間がある方は年金記録の確認が急務です。
③ 日本人・永住者の配偶者(短期婚姻の方)
婚姻後3〜4年程度で在留1年以上の配偶者は、現行特例の下では申請可能ですが、改定後は婚姻5年かつ在留3年が必要となります。2027年4月前の申請完了を急ぐ必要があります。
④ 現在申請を検討している方(特に2026〜2027年に要件を満たす見込みの方)
新要件が2027年4月から適用されるとすれば、2026年中〜2027年3月末までに申請できる方は現行要件のままで審査を受けられる可能性があります。現時点で在留年数・素行・年収等の要件を検討し、前倒し申請を検討する価値があります。
まとめ
- 入管庁が永住許可ガイドラインを2026年10月1日付で改定する方針(2026年7月下旬報道)
- 年収要件:「日本人世帯の平均を上回ること」を明記・2026年4月以降の申請に遡及適用
- 年金要件:「厚生年金30年加入相当の受給見込み額」が原則基準・不足は金融資産で補充可・2027年4月申請分から
- 日本語能力(「自立した言語使用者」水準)・日本の制度理解度の評価を新設
- 配偶者特例:「婚姻3年・在留1年」→「婚姻5年・在留3年」に引上げ(2027年4月から)
- いずれも報道ベース。詳細は出入国在留管理庁の正式公表を待って確認が必要
永住許可申請の手続きやご自身への影響についてご不明な点があれば、さくら中央法務事務所(法務省認定申請取次行政書士)にお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。
⚖️ 行政書士からの専門家コメント
📋 実務上の背景
今回の改定案は、永住許可の審査が「通算在留年数10年・年収300万円・公的義務の履行」という現行の比較的シンプルな基準から、「収入の絶対水準・将来の年金受給見込み・日本語能力・社会統合度」という複合的な基準へと大きく転換することを意味します。日本人の生活水準との比較が明示されることで、審査の透明性は上がる一方、これまで要件を満たすと思われていた方がギリギリ不許可になるケースも増えることが予想されます。年収・年金いずれも「証明書類の準備」が非常に重要になりますので、早期に書類整備を始めることをお勧めします。
⚠️ よくある誤解
「厚生年金30年」という言葉だけが独り歩きし、「30年以上日本で働いていなければ永住は取れなくなる」という誤解が広がっています。報道を丁寧に読むと、あくまでも受給見込み額の比較基準であり、在留歴が10年前後であっても年収が高く厚生年金への貢献が大きければ基準を満たし得ます。また金融資産での補充余地も設けられる見通しです。誤解に基づいて申請を諦めないよう、個別に状況を確認することが重要です。
✅ 今すぐ取るべきアクション
①ねんきんネット等で年金記録・受給見込み額を確認する。②直近3年分の課税証明書(年収証明)を整理し、日本人世帯平均との差を確認する。③配偶者特例に該当する方は婚姻・在留年数をカウントし、2027年3月末前申請の可否を検討する。④全般的な申請可否の判断は個別事情が大きく影響するため、さくら中央法務事務所への無料相談をご活用ください。特定技能・育成就労関連はさくら研修機構もご参照ください。