「法務局における遺言書の保管等に関する省令の一部を改正する省令」(令和8年法務省令第8号)が令和8年3月2日に公布・施行された。自筆証書遺言書保管制度について、DV被害者等の住所等の非表示措置の新設、請求書の記載事項・添付書類の省略範囲の拡大、申請書等の様式簡素化の3点が主な改正内容である。

改正1:DV被害者の住所等の非表示措置の新設

遺言者の死亡後、相続人・受遺者等・遺言執行者等が遺言書情報証明書の交付を受けたり、モニターで遺言書を閲覧したりする際には、遺言書の画像情報のほかに、遺言者の住所・本籍及び受遺者等・遺言執行者等の住所が表示される。これらの情報が表示されることでDV被害者やこれに準ずる者(市町村からDV等支援措置を受けている者等)に被害が生ずるおそれがある場合、その情報を表示しない措置を遺言書保管官に申し出ることができる制度が新設された。

📌 非表示措置の要点
  • 対象:遺言者の住所・本籍、受遺者等・遺言執行者等の住所(証明書・閲覧画面上で「-」表示に)
  • 申出人:遺言者本人(死亡後は非表示措置対象者本人、さらにその者も死亡している場合は相続人)、法定代理人も可
  • 申出先:全国すべての遺言書保管所(保管先以外でも可)
  • 添付書類:被害を受けるおそれがあることを証明する書類(例:DV等支援措置決定通知書)
  • 注意:遺言書原本・その画像情報自体は非表示措置の対象外(原則マスキング不可)。遺言書本文に表示させたくない住所・本籍を記載しないよう留意が必要

改正2:請求書の記載事項・添付書類の省略範囲の拡大

指定者通知や関係遺言書保管通知がされている場合、遺言書情報証明書・遺言書保管事実証明書の交付が既にされている場合など、遺言書保管所において遺言者の死亡が既に記録されている一定の場合には、遺言書保管事実証明書の交付請求・申請書類の閲覧請求等に係る請求書について、遺言者の最後の住所・本籍・死亡年月日の記載や、遺言者の死亡を証明する書類(除籍謄本等)の添付を省略できるようになった。これにより、遺言者の親族でない受遺者・遺言執行者等が住所・本籍を把握していない場合でも、まず申請書類の閲覧請求を行うことで遺言者の住所・本籍を確認するといった手順が可能となる。

改正3:申請書・遺言書等の様式の簡素化

  • 申請書・届出書・請求書の様式から、申請人・届出人・請求人の記名欄を削除(従来の様式も引き続き使用可)
  • 保管申請をする遺言書が1枚の場合、ページ番号の記載を不要化(2枚以上の場合は引き続き記載が必要)

まとめ

  • 令和8年法務省令第8号が令和8年3月2日に公布・施行
  • DV被害者等が遺言者の住所等の非表示措置を申し出られる制度を新設
  • 遺言者の死亡が既に記録済みの場合、請求書の記載・添付書類を省略できる範囲を拡大
  • 申請書等の記名欄削除、1枚遺言のページ番号記載不要化により様式を簡素化

DV被害者等に該当し得る方が自筆証書遺言書保管制度の利用を検討する場合、非表示措置の対象範囲(遺言書原本自体は対象外である点)を正確に理解した上で、遺言書本文の記載内容にも注意を払う必要がある。遺言書作成・保管申請の手続についてご不明な点があれば、さくら中央法務事務所(法務省認定申請取次行政書士)にご相談ください。