2026年6月17日、遺言制度を抜本的に見直す「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)が国会で成立し、同月24日に公布されました。改正は、スマホ・PCで作成できる「デジタル遺言(保管証書遺言)」の新設、自筆証書遺言への押印要件の廃止、証人の口授を録音・録画する特別方式の追加の3本柱からなります。
ただし2026年7月現在はまだ現行法が適用中です。「成立=今すぐ変わった」ではありません。本記事では施行スケジュールと、今遺言書を作成する場合の注意点を解説します。
3つの改正ポイントと施行時期
自筆証書遺言・秘密証書遺言などに求められてきた「押印」が不要になります。ただし、氏名の自書・日付・全文の自書(自筆証書遺言の場合)は引き続き必要です。
→ 2026年7月時点:現行ルール適用中。遺言書には押印が必要です。
スマホ・PCで作成した遺言書を法務局にオンラインで保管申請できる新方式です。従来の法務局保管制度(遺言書保管法)をデジタル化・拡張したもので、本人認証はマイナンバーカード等を利用する予定です。
→ 2026年7月時点:制度未施行。利用は不可です。
病気や緊急事態で自書が困難な場合に用いる「特別方式」として、証人の口授を録音・録画で記録する方式が追加されます。
→ 2026年7月時点:施行日未定。詳細は今後の政令公布を待ちます。
「今書くなら」どのルールが適用されるか
施行前である現時点で遺言書を作成する場合は、現行の民法が適用されます。方式別に整理すると以下の通りです。
- 自筆証書遺言:全文・日付・氏名を自書し、押印が必要(施行後は押印不要になる予定)
- 法務局保管制度(遺言書保管法):現行制度で引き続き利用可(費用3,900円)。デジタル版は施行後に利用可能となる。
- 公正証書遺言:改正の影響を受けず、引き続き有効。確実性・紛争予防の観点から最も推奨される方式。
改正後のデジタル遺言(保管証書遺言)の概要
施行後に新設される「保管証書遺言」の主な特徴は以下の通りです(詳細は今後の政令・省令で確定)。
- スマートフォン・PCで遺言内容をオンライン入力
- マイナンバーカード等で本人確認・電子署名
- 法務局がデータを保管し、相続開始後に相続人に通知
- 自書不要(高齢者・身体障害のある方にも利用しやすい)
- 検認手続不要(現行の法務局保管制度と同様)
「スマホで遺言が書けるようになった」というニュースを見て今すぐ利用できると思われがちですが、施行は早くとも2029年ごろの見込みで、現時点でデジタル遺言は作成できません。今すぐ遺言書を残したい方は現行の自筆証書遺言または公正証書遺言をご検討ください。
なぜ今、遺言書を作成すべきか
今回の改正の狙いの一つは遺言書作成のハードルを下げることですが、制度が整うまでには時間がかかります。「デジタル遺言が使えるようになってから」と先送りする最大のリスクは、その間に体調が変化し意思能力を問われたり遺言書を作成できなくなったりすることです。
さくら中央法務事務所では現行制度のもとでの遺言書作成サポート(公正証書遺言・自筆証書遺言の添削・法務局保管制度の利用支援)を行っています。遺言書の作成をお考えの方はお気軽にご相談ください。
まとめ
2026年6月24日公布の改正民法により遺言制度は大きく変わります。ただし施行時期は①押印廃止が1年以内(2027年ごろ)、②デジタル遺言新設が3年以内(2029年ごろ)と段階的です。今遺言書を作成する場合は現行ルール(押印必要)が適用されることを忘れずに、制度改正の動向を踏まえつつ今できる準備を進めましょう。
遺言書の作成・見直しはさくら中央法務事務所にご相談ください。
現行制度での遺言書作成サポートから、今後のデジタル遺言への移行まで、初回相談無料でお受けしています。
⚖️ 行政書士からの専門家コメント
📋 実務上の影響
相続・遺言に関する法制度は近年大きく変わっており、特に2024年の相続登記義務化以降は不動産を含む遺産整理の優先度が高まっています。手続きの遅延は過料の対象となる場合もあります。
⚠️ 注意すべき落とし穴
遺産分割協議書・相続登記・金融機関手続きなどは相続人全員の合意と戸籍一式の収集が前提です。一人でも欠けると手続き全体がストップします。外国籍の相続人が含まれる場合は特別な書類対応も必要です。
✅ 今すべきアクション
遺産整理・相続手続きでお悩みの方は、まず専門家による現状確認をお勧めします。当事務所の相続・遺言サービスをご覧ください。初回相談はこちらから無料でお申込みいただけます。