外国人技能実習機構(OTIT)の「分野別運用方針・告示・運用要領等」のページによると、育成就労制度(2027年4月1日施行)の特定の分野に係る運用要領について、2026年10月9日に飲食料品製造業分野と資源循環分野の運用要領が新たに公表され、鉄道分野と木材産業分野の運用要領が一部改正された。新規公表の2分野では、就労開始前の日本語能力水準(JFT-Basic A1相当以上またはJLPT N5以上の合格、または100時間以上の日本語講習)、本人意向の転籍制限期間2年、分野別協議会への加入などが示されている。

4分野の公表・改正の概要

分野区分所管(編)告示日付
飲食料品製造業新規公表法務省・厚生労働省・農林水産省令和8年農林水産省告示第649号令和8年10月9日公表
資源循環新規公表法務省・厚生労働省・環境省令和8年環境省告示第37号令和8年10月9日公表
鉄道一部改正(第二版)国土交通省所管令和8年国土交通省告示第442号令和8年10月9日一部改正
木材産業一部改正(第二版)農林水産省所管令和8年農林水産省告示第622号令和8年10月9日一部改正

各運用要領は、育成就労法施行規則の規定に基づき分野所管省庁が定めた告示の基準について、留意事項を定めたものである。飲食料品製造業分野・資源循環分野の分野別運用方針は、令和8年1月23日の閣議決定で定められている(運用要領本文の記載による)。

飲食料品製造業分野(新規公表)

日本語・技能の水準と転籍

  • 就労開始前の日本語能力:国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A1相当以上、または日本語能力試験(JLPT)N5以上の合格。または、認定日本語教育機関の「就労のための課程」等における当該水準に相当する日本語講習100時間以上の受講
  • 育成就労開始後1年経過時まで:技能は基礎級の技能検定または相当する育成就労評価試験、日本語はA1相当(就労開始前と同水準)
  • 育成就労の終了時まで:技能は3級の技能検定または特定技能評価試験等、日本語は「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上
  • 本人意向の転籍:日本語はA2.1相当以上の水準。転籍制限期間は2年
  • 賃上げ:1年を超える転籍制限期間を設定する育成就労実施者は、在籍する外国人の所定内賃金を1年目から2年目にかけて、農林水産省・関係業界団体等で構成する食品産業育成就労協議会(分野別協議会)が設定した昇給率以上の割合で昇給させなければならない
  • 特定技能への接続:主たる技能を「飲食料品製造業全般」とする育成就労外国人は、育成就労の期間に、育成就労評価試験(初級)の実技試験に合格することが、特定技能1号評価試験の受験要件となる

上乗せ基準(告示:令和8年農林水産省告示第649号)

  • キャリアアップ計画の書面交付:雇用契約を締結する前に、キャリアアップに関する計画(各レベルの業務内容と習熟の目安年数、必要な経験・資格、処遇向上など)を書面で交付して説明する。水産加工業の区分では、転籍できる範囲(原則として同一の業務区分内)を含むキャリアパスや待遇を説明し、同意を得る必要がある
  • 分野別協議会への加入:育成就労計画の認定申請の前に、食品産業の分野別協議会に加入していることが必要。協議が調った事項の措置を講じない場合や、必要な協力を行わない場合は、基準に適合しないこととなる。協議会の構成員であることの証明書が確認対象書類
  • 事業所の産業:日本標準産業分類の食料品製造業(中分類09)、清涼飲料製造業、茶・コーヒー製造業、製氷業のほか、製造を行う食肉小売業・総合スーパーマーケット・食品スーパーマーケットなど10類型のいずれかを行っていること。製造品出荷額等が発生している事業所であることが求められる
  • 雇用形態:直接雇用に限る。労働者派遣等の形態での就労はできない
  • 農産物漬物製造:主たる技能とする場合は、周年操業している施設であること、漬物製造管理士2級以上の有資格者が在籍していること、水産物を加えた場合は水産物の使用量が農産物より少ないことが要件(分野別運用方針)

技能実習から育成就労へ移る場合の対応する試験も整理され、例えば缶詰巻締、食鳥処理加工、牛豚食肉処理加工、惣菜製造、農産物漬物製造の各専門級や、技能検定3級(ハム・ソーセージ・ベーコン製造、パン製造)が飲食料品製造業の業務区分に、水産加工食品製造業の専門級と技能検定3級(水産練り製品製造)が水産加工業に対応する。問合せ先は農林水産省食品製造課(03-6744-1869)、水産庁加工振興班(03-6744-2349)、分野別協議会は農林水産省新事業・国際グループ(03-6744-2397)。

資源循環分野(新規公表)

  • 業務区分:廃棄物処分業(中間処理)。一般廃棄物処分・産業廃棄物処分のどちらも対象
  • 優良機関認証:育成就労実施者は、資源循環分野の分野別協議会による「優良機関認証」を受ける必要がある。協議会は、受入れ前と受入れ後に定期的に、書面または実地で確認する。労働安全衛生に関する取組(安全衛生委員会・安全協議会等の体制を設け活動していること、リスクアセスメントを実施していること等)が一定の要件を満たしているかを確認し、認証されない場合は基準に適合しなくなる
  • 事業者の要件:廃棄物処理法上の一般廃棄物処分業者、再生利用認定業者、広域的処理認定業者、無害化処理認定業者、産業廃棄物処分業者、特別管理産業廃棄物処分業者から、容器包装・家電・小型電子機器・プラスチック資源循環促進法・再資源化事業等高度化法に基づく認定事業者まで、26類型のいずれかに該当し、いずれも廃棄物処分(中間処理)に関する業務を行っていること。業許可等の更新で該当し続ける必要がある
  • 日本語・転籍:就労開始前の日本語能力水準は飲食料品製造業と同じ(JFT-Basic A1相当以上またはJLPT N5以上、または100時間以上の講習)。本人意向の転籍は、技能は資源循環分野育成就労評価試験(初級)、日本語はA2.1相当以上。転籍制限期間は2年。1年を超える制限期間を設定する場合は、環境大臣が設置する分野別協議会が設定・公表する昇給率以上の昇給が必要
  • 雇用形態・協議会:直接雇用に限る。育成就労計画の認定申請の前に分野別協議会(資源循環分野 特定技能・育成就労協議会)に加入している必要がある。協議会に関する問合せは資源循環分野 外国人人材受入れ支援サイト(https://www.s-frc.jp/)、業務区分への該当が不明な場合の問合せ先は同協議会(電話044-578-1920)
  • 告示:令和8年環境省告示第37号

鉄道分野・木材産業分野(一部改正:新旧対照表で確認できる変更点)

鉄道分野(令和8年国土交通省告示第442号に基づく運用要領)

  • 育成就労計画審査基準:「追って別紙としてお示しします」としていた記載を、「別紙」の育成就労計画審査基準を参照する記載に改めた(別紙を新規制定)
  • 技能水準(主たる技能が軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・駅・車両清掃):特定技能1号評価試験の受験要件として育成就労期間中に合格が必要な試験を、「育成就労評価試験(初級)の実技試験」から「育成就労評価試験(初級)」に改めた
  • 運輸係員の日本語:現行は「育成就労外国人が、JLPT N3(104点以上)以上に合格している場合を除き、認定日本語教育機関の『就労のための課程』等で当該水準相当の講習を150時間以上履修する必要がある」。改正後は、育成就労実施者が、同様の場合を除き、外国人が当該講習を150時間以上履修することができるよう必要な措置を講じる必要がある、と主語と内容が改められた。「104点以上」は「CEFRのB1相当以上を判定されること」をいうと注記された
  • 育成・キャリア形成プログラム:国土交通省のホームページに掲載されると記載していたものに、掲載先の資料番号(002008378.pdf)を明記
  • 技能実習との関係:技能実習を「2年以上」行っている場合から「2年を超えて」行っている場合へ、対応する業務区分以外の育成就労を行わせることができない条件の表現を改めた。表の「技能実習の目標」は「技能実習の目標となる試験」、「軌道施設保守整備技能実習評価試験(専門級)」は「軌道保守整備技能実習評価試験(専門級)」に改められた

木材産業分野(令和8年農林水産省告示第622号に基づく運用要領)

  • 育成就労計画審査基準:鉄道分野と同じく、「追って別紙として」から「別紙」を参照する記載に改め、別紙を新規制定
  • 技能水準(主たる技能「木材加工」):特定技能1号評価試験の受験要件が、「育成就労評価試験(初級)の実技試験」から「育成就労評価試験(初級)」に改められた
  • 分野別協議会の問合せ先:農林水産省林野庁林政部木材産業課の電話番号を03-6744-2290から03-6744-2292に変更
  • 技能実習との関係:鉄道分野と同様に、「2年以上」を「2年を超えて」に改め、表の見出しを「技能実習の目標となる試験」に改めた

技能実習を2年行っている人の扱いは、文言が「2年以上」から「2年を超えて」に変わったことで境目の表現が異なって見える。2年ちょうどの場合の取扱いは、所管省庁の資料で確認する必要がある(本記事は文言の変更を示すにとどめ、取扱いの結論は断定しない)。

実務上のポイント

  • 飲食料品製造業・資源循環分野で育成就労を行わせる事業者は、育成就労計画の認定申請の前に、分野別協議会に加入していることが必要になる。資源循環分野ではさらに優良機関認証が前提となる
  • 就労開始前の日本語能力の証明には、JFT-Basic A1相当以上、またはJLPT N5以上の合格が使える(JLPTの12月試験が締切となっている状況はJFT-Basic活用の案内を参照)
  • 転籍制限期間が2年の分野で、1年を超える制限期間を設定する場合は、協議会が設定する昇給率以上で所定内賃金を昇給させる義務がある
  • 鉄道・木材産業分野では、育成就労評価試験(初級)の合格要件の表現と、技能実習との関係の表現が改められているため、既に運用要領を参照して準備を進めている受入予定企業は、新旧対照表で自社の業務区分に関係する箇所を確認する

情報源

  • 外国人技能実習機構「分野別運用方針・告示・運用要領等」(2026年10月9日付の公表・一部改正):https://www.otit.go.jp/employment_for_skill_development/category/
  • 法務省・厚生労働省・農林水産省編「特定の分野に係る育成就労制度運用要領-飲食料品製造業分野の基準について-」(令和8年10月9日公表)
  • 法務省・厚生労働省・環境省編「特定の分野に係る育成就労制度運用要領-資源循環分野の基準について-」(令和8年10月9日公表)
  • 「特定の分野に係る育成就労制度運用要領-鉄道分野の基準について-」「同-木材産業分野の基準について-」の一部改正について(新旧対照表、令和8年10月)