出入国在留管理庁は2026年10月19日、「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」の第15回会合を法務省で開いた。会合には、外食業分野の医療・福祉施設給食業等を飲食料品製造業分野で受け入れる案と、介護分野の受入れ見込数の配分を変更する案が資料として示された。いずれも「案」の段階で、入管庁のページには会合の結果(決定内容)はまだ掲載されていない。

第15回会合の議題(2026年10月19日)

📌 示された案の要点(入管庁の会議資料)
  • 外食業分野:医療・福祉施設給食業等(食材の下処理、非加熱・加熱調理等の一連の製造を行い、医療・福祉施設給食等を製造する業務)の新規申請分について、令和9年度から緊急的措置として飲食料品製造業分野で受け入れる案
  • 介護分野:分野全体の受入れ見込数160,700人は維持したまま、特定技能1号を126,900人から146,900人(2万人増)、育成就労を33,800人から13,800人(2万人減)に配分変更する案
  • 分野別運用方針の改正(案):工業製品製造業に「板ガラス加工」「ガラス溶融成形」の業務区分を追加(17→19)、漁業に「水産物産地卸売市場業」を追加、飲食料品製造業に主たる技能「豆腐製造」と産業分類「塩製造業(食塩製造業に限る)」を追加、航空に育成就労産業分野(空港グランドハンドリング)を設定 など

外食業の医療・福祉施設給食業等を飲食料品製造業分野へ

案によると、現在は外食業分野の対象となっている医療・福祉施設給食業等について、令和9年度の新規申請分から、飲食料品製造業分野のうち飲食料品製造業の業務区分で受け入れる。育成就労の外食業分野の運用方針で主たる技能として設定されている「医療・福祉施設給食製造」を、飲食料品製造業の業務区分に付け替える。あわせて、飲食料品製造業分野の上乗せ告示に、日本標準産業分類の中分類81(学校教育)、82(その他の教育・学習支援業)、83(医療業)、85(社会保険・社会福祉・介護事業)を営む事業所で、小分類773(施設給食業)を営む場合を産業分類として追加する。

入管庁は措置の理由として、医療・福祉施設給食業等は接客のない事業所では既に飲食料品製造業分野で受け入れる運用も行ってきたこと、事業所の業務内容を精査すると接客の比率が低い事業所も多いことを挙げている。外食業分野では受入れ見込数を超える見込みとなったため2026年4月に受入れ停止措置がとられており、国内の人材確保も進んでいないことから、「今期における緊急的措置」として、新たに受け入れる外国人については飲食料品製造業分野として育成・従事させるとしている。

資料には人手不足の状況も示されている。有効求人倍率(令和8年5月)は給食等調理員(学校給食を除く)が7.37倍、学校給食調理員が2.36倍。日本メディカル給食協会の会員事業者へのアンケート(対象38社、回答34社、令和8年8月7日〜26日)では、欠員のない事業者はなく、うち約4割には多数の欠員が生じているとされ、求人充足率は33.0%(採用49,351人、募集149,418人)だった。

介護の受入れ見込数を特定技能1号へ2万人配分変更

介護分野の受入れ見込数は、令和8年1月23日に閣議決定された分野別運用方針で、特定技能1号が126,900人、育成就労が33,800人(合計160,700人)と定められている。案は、合計は変えずに配分を変更するもので、特定技能1号を146,900人(+20,000人)、育成就労を13,800人(−20,000人)とする。

入管庁は理由として、令和8年6月末時点の介護分野の特定技能1号の在留者数が79,884人で、受入れ見込数を設定した際に想定していた伸びを上回るペースで増えており、現行の配分のままでは令和9年度後半に受入れ見込数(126,900人)を超える可能性があることを挙げている。在留者数は令和5年12月末28,400人、令和6年12月末44,367人、令和7年12月末67,871人と推移した。一方、技能実習「介護」の1号認定者数は令和7年度で5,810人で、受入企業・関係団体へのヒアリングから、育成就労の受入れ枠には余裕があると考えられるとしている。ヒアリングした6社全てが、育成就労より特定技能1号を重視するとし、育成就労の受入れ予定がない、または未定と答えた。

資料3-1は、受入れ見込数の変更は大きな経済情勢の変化があった場合が原則としたうえで、例外的に、受入れ需要が当初の想定より著しく高いなど変更に相当の必要性があり、両制度を利用する外国人等に著しい不利益が生じないなど許容性があるときに限り、配分変更が許容されるとの考え方を示している。

これまでの経緯と今後

外食業分野では、特定技能1号の受入れ見込数(5万人)を超える見込みとなったため、2026年4月13日から在留資格認定証明書交付の一時停止措置がとられている(9月9日の第14回会合でも継続中と報告。第14回会合の解説)。今回の案は、その分野のうち医療・福祉施設給食業等を、令和9年度の新規申請分から飲食料品製造業分野で受け入れるものである。案が決定されるかどうかと、決定時期は、入管庁のページでは確認できていない。

実務上のポイント(行政書士の見解を含む)

  • 示されたのは案であり、決定前の内容で手続きを進めない。決定後の分野別運用方針、上乗せ告示、運用要領で、対象となる事業所・業務区分・申請の取扱いを確認する
  • 医療・福祉施設給食業等で外国人材の受入れを考える事業者は、案どおりなら令和9年度の新規申請分から飲食料品製造業分野の対象になる。事業所が上乗せ告示の産業分類(施設給食業など)に当たるかが確認事項となる
  • 介護分野で育成就労の受入れを予定していた事業者は、案どおりなら育成就労の受入れ見込数が13,800人になる。受入れ見込数の枠の動向を入管庁・厚生労働省の発表で確認する
  • 特定技能・育成就労の受入れに関するご相談は特定技能・育成就労のご案内をご覧ください

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