渋谷での外国人誤認逮捕事案(2026年)が社会的な関心を集めましたが、同様のリスクが在留期間更新・変更をオンラインで申請した外国人にも存在することが、現場の行政書士の間で問題視されています。オンライン申請では在留カード裏面に「申請中」を示すスタンプが押されないため、在留期間が記載上は過ぎているにもかかわらず、適法に在留中の状態を外見から証明することができないのです。
「特例期間」とは何か
在留期間が満了する前に更新・変更の申請を行った場合、在留期間の満了日から最長2か月間(または申請の処分が下りるまでのいずれか早い方)は、従前の在留資格・活動制限のまま引き続き適法に日本に在留できます。これを「特例期間」といいます(出入国管理及び難民認定法第20条第5項ほか)。
たとえば、在留期間満了日が7月1日であっても、6月20日に適法に更新申請を行っていれば、8月31日(2か月後)または結果通知日のいずれか早い日まで在留は合法です。在留期間欄に「2026年7月1日まで」と記載された在留カードを持っていても、8月末まで在留を継続できます。
窓口申請と「申請中」スタンプ
従来の窓口(入管)申請の場合、申請受付と同時に入管担当官が在留カード裏面の右下(申請欄)に「申請中」スタンプを押印します。これにより在留カードを確認した警察官や行政機関の担当者が、「この人物は現在更新・変更申請中であり、特例期間中に適法在留している」と即座に判断できます。
裏面右下の申請欄に入管のスタンプが押される:
「在留期間更新許可申請中 受付番号〇〇〇 受付日:2026.06.20」
→ 在留期間欄が満了していても、スタンプで申請中であることが一目でわかる
オンライン申請では「申請中」スタンプが押されない
2022年以降、技術・人文知識・国際業務(技人国)など多くの就労系在留資格でオンライン申請(申請人等利用型)が可能になりました。オンライン申請では入管窓口に出向く必要がなく、利便性が大幅に向上しています。
しかし、オンライン申請の場合は在留カードに「申請中」スタンプが一切押されません。外国人が受け取るのは入管システムから送られてくる「受付完了メール」のみです。この状態で在留期間満了後の特例期間中に職務質問を受けると、在留カードの在留期間欄が満了日を過ぎているにもかかわらず申請中であることを示す視覚的証拠がなく、不法滞在(オーバーステイ)と警察官に誤認されるリスクが生じます。
在留カード裏面:スタンプなし(申請中であることが記載されない)
在留期間欄:「2026年7月1日まで」(満了日が過ぎているように見える)
↓
7月15日に職務質問を受けると → 警察官がオーバーステイと誤認する可能性がある
実際には特例期間中であり、適法在留中
さくら中央法務事務所の推奨:入管からのメールを必ず携帯
当事務所では、オンライン申請を行った依頼者に対して、入管から届く「受付完了メール(申請番号・受付日時が記載されたもの)」を常時携帯するよう強く推奨しています。このメールが特例期間中に適法在留していることの唯一の証拠になりえるからです。
具体的には以下の対応を推奨しています。
- 受付完了メールをスマートフォンに保存し、すぐに表示できる状態にしておく。
- メールのスクリーンショットを印刷して財布やパスポートケースに入れる(スマートフォンの電池切れ・画面破損に備える)。
- 職務質問を受けた際は落ち着いてメールを提示し、「在留期間更新・変更を申請中で、特例期間中に適法に在留しています」と説明する。
- もし警察官が理解しない場合は、申請を担当した行政書士や入管相談窓口(入管庁ナビダイヤル)に即時連絡するよう事前に打ち合わせておく。
入管庁ナビダイヤルへの即時相談も有効
出入国在留管理庁は、外国人からの相談を受け付けるナビダイヤル(0570-013904)を設けています。職務質問中に警察官が対応に迷う場合、警察官自身がこの番号に電話して在留状況を照会することも可能です。外国人本人が「入管に問い合わせてください」と伝えることで状況が改善する場合があります。
オンライン申請後の入管スタンプ取得は可能か
オンライン申請後に窓口へ行って「申請中スタンプを押してほしい」と求めることは、原則として制度上想定されていません。ただし、職務質問や在留確認で困ったことがある・または心配という方は、申請後に入管窓口で在留カードの取り扱いについて相談することをお勧めします。場合によっては、申請変更(オンライン申請から窓口申請への切り替え)を検討する選択肢もあります。
雇用企業が確認・周知すべきこと
- 外国人社員がオンライン申請を行う際は、受付完了メールの保存・携帯を会社として指示・確認する。
- 特例期間中の社員が職務質問を受けた場合の連絡先(担当行政書士の緊急連絡先など)を事前に共有しておく。
- 在留カードの有効期限管理システムで満了日のみを管理している場合、申請済みの社員を「申請中」として区別して管理する。
まとめ
オンライン申請は便利ですが、申請中スタンプが押されないことにより特例期間中の外国人が不法滞在と誤認されるリスクがあります。当事務所では依頼者に対し、入管からの受付完了メールを印刷・携帯することを必ず指導しています。在留申請をご依頼の際は、申請後の身の守り方まで含めてサポートします。在留申請・在留資格管理に関するご相談はさくら中央法務事務所まで。初回相談は無料です。
在留期間更新・変更申請はさくら中央法務事務所へ。
申請後の携帯書類・特例期間のご案内まで丁寧にサポートします。初回相談無料です。